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2019.10

いざd.lab!

センター長 黒田忠広

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2019.10.05

知識集約型社会が到来します。そのとき、製造業はどうなっているのでしょうか?その答えを探すのがd.lab(ディーラボ)の使命です。

人間中心の超スマート社会Society5.0を実現するためには、資本集約型社会から知識集約型社会へとパラダイムシフトを起こす必要があります。資本集約型社会では製品が価値の中心でしたが、知識集約型社会ではサービスが価値の中心となります。

ここでサービス創出の鍵となるのが、フィジカル空間(現実空間)とサイバー空間(仮想空間)をシームレスに繋ぐデータの活用です。すなわち、物理空間の実データをI o Tデバイスを通してデジタルデータに変換し、AIで高度な分析を加えた後に、インターネットを通じてサービスを提供するシステムが求められます。

こうしたデータ駆動型のシステムでは、エッジとクラウドのいずれにおいても、専用の半導体デバイスが重要になります。エッジのセンサの直近やメモリの傍で分散的にデータ処理を行うのが良い場合もあれば、クラウドで集約的に行うのが良い場合もあって、ケースに応じて最適化された専用チップが欠かせません。

したがって、チップの開発も従来の資本集約型から知識集約型に相応しい仕組みに変革する必要があります。これまでの汎用チップの高度化・低コスト化を競う時代とは様相が変わりつつあります。折しもムーアの法則が減速する中で、これから少品種大量生産の採算レベルを上げにくくなりつつあり、この少量高付加価値の専用チップを製造しやすい新時代は、ASICの時代と異なり長年に渡り継続すると予想されます。

こうした時代の変化の中で、d.labはソリューションを創り出す側の視点に立って、システムのアイデアを持つ人なら誰でも専用チップを即座に手にすることができるように、デザインの手法と製造のエコシステムを再構築することを目標とします。データ駆動型システムのデザインプラットフォームを構築し、データ駆動型社会で活躍する人材を育成します。

d.labの名称には、デジタル技術で一人一人が輝く時代(digital inclusion)に、データ(data)を起点にソフトからデバイス(device)まで一貫して、領域特化型(domain specific)のシステムをデザイン(design)するプラットフォームを創出する、という技術思想が込められています。また、東京大学の国際宿舎(dormitory)の中にd.labのオフィスを構え、アイデアの交換と協創を促進します。ガレージでスタートアップが誕生したように、大学寮でパラダイムシフトが生まれると期待します。

では、データ駆動型システムを実現する上の課題は何でしょうか?主に3つの技術課題を順次解決する必要があります。1つはエネルギー効率を高めることです。そのためには、機能を限定しデータの移動を抑えた専用チップが必要です。ところが専用チップの開発には多大な設計コストがかかります。そこで2つ目の課題は設計効率を高めることです。そのためには設計の自動化が必要です。ところが設計自動化はハードウェアの性能低下を招きます。そこで3つ目の課題は先端プロセスでチップを製造することです。先端プロセスはエネルギー効率を高める上でも有効です。

こうした課題の解決を目指して、3次元集積技術と先端デバイス技術でエネルギー効率を10倍改善し、EDAを高度化させたアジャイル設計手法とRISC-Vなどのオープンアーキテクチャで設計効率を10倍改善し、ファウンドリの先端プロセス(例えば7nmプロセス)で誰でも直ちに試作できるエコシステムを構想します。

d.labでは、ベンチャーや企業の研究者と学生が一同に会して協働し、オープンイノベーションから大型プロジェクトまでを産学協創で推進します。また、システムから電子デバイスまでをシームレスに繋ぐ学問の体系化に取り組み、自動設計に関する教育の高度化を推進します。

国際宿舎も位置付けられる、東京大学の複合施設の目白台インターナショナルビレッジにオフィスを作り、約1000名の多様な学生と研究者と日々接しながら、SINETで全国の大学や研究機関と高速デジタル回線で繋ぎ、さらに学術連携を生かして世界にネットワークを拡げます。

Society5.0のデジタルソリューションに関心を持つみなさん、いざd.lab